FDEになるには?国内求人の応募条件と年収、採用している会社を解説

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FDE(Forward Deployed Engineer)は、顧客や社内の現場に入り、課題の特定から実装までを受け持つエンジニア職です。FDEになるには、国内の公式求人が求める経験に今の経歴が届くかを確かめます。

国内の公式求人の多くが求めている経験は、開発の実務、顧客や社内の事業部と一緒に課題を解決した経験、LLMや生成AIを使った開発や導入です。

経験年数の条件は、表記のない求人から顧客対応を含む長い実務を求める求人まで開きがあります。この記事では、国内で募集している会社の応募条件と公開されている年収、出身の職種ごとに足りない経験と、それを積む場所を解説します。

FDEになるには何が必要か

FDEの求人が求める経験は、開発の実務、顧客や社内の事業部と一緒に課題を解決した経験、LLMや生成AIの開発や導入

FDEの公式求人は、応募の条件を資格名ではなく経験で書いています。確認した7件に、検定や認定などの資格名を条件にした求人は1件もありません。

経験の年数を条件にした求人は4件です。

会社求人名経験年数の条件
OpenAIForward Deployed Engineer – Tokyo5年以上(顧客対応を含む)
SB OAI Japan(採用はソフトバンク)Forward Deployed Engineer (FDE)5年以上
LayerXSenior Forward Deployed Engineer設計・開発2年以上
LayerXForward Deployed Engineer (Associate)表記なし
マネーフォワードForward Deployed Engineer(Internal)表記なし
マネーフォワードForward Deployed Engineer(プロダクトAIソリューション部)表記なし
PalantirForward Deployed Software Engineer – Japan Government実務1年以上

開発またはエンジニアリングの経験は、LayerXのAssociateを除く6件が必要としています。Associateでは開発経験は必須ではなく、あれば望ましい条件です。Palantirの条件はエンジニアリングの素地で、開発経験とは書いていません。

顧客や社内の事業部と一緒に課題を解決した経験は、OpenAI、ソフトバンク(入社後にSB OAI Japanへ出向)、LayerXでは社外の顧客が相手です。マネーフォワードの2件は相手が社内で、事業部門やプロダクトマネージャーと組みます。Palantirの求人には顧客対応の経験という項目がなく、かわりに顧客先へ出張できることが条件です。

LLMや生成AIを使った開発や導入の経験は、Palantir以外の6件に入っています。マネーフォワードのプロダクトAIソリューション部は、生成AIか機械学習のどちらかの開発経験を求めています。

職種全体の基準になる統計は、年数を含めて見当たりません。条件を確認できた求人は、2026年10月4日時点で5社7件です。

国内でFDEを募集している会社

FDEが入り込む先は、顧客企業、社内の各部門、自社のサービスに分かれる

入り込む先が顧客企業か社内か、英語が条件に入るか。この2点で、国内のFDE求人は会社ごとに分かれます。

会社入り込む先語学
OpenAI顧客企業日本語と英語(どちらも流暢)
ソフトバンク(SB OAI Japanへ出向)顧客企業日本語(英語は歓迎)
LayerX顧客企業日本語(英語の記載なし)
マネーフォワード(Internal)社内の各部門日本語(英語は不問)
マネーフォワード(プロダクトAIソリューション部)自社のサービス日本語(英語は不問)
Palantir顧客の組織日本語と英語

英語が条件に入る会社はOpenAIとPalantirの2社で、ソフトバンク、LayerX、マネーフォワードは英語を必須にしていません。顧客の側に入らない求人は、マネーフォワードだけです。

Sakana AIも採用ページの一覧にForward Deployed Engineer (GTM)を載せていて、語学は日本語がビジネスレベル、英語が会話レベルです。そのほかの応募条件は一覧にありません。

OpenAI

OpenAIのForward Deployed Engineer – Tokyoは、エンジニアリングまたは技術導入で顧客対応を含む5年以上の経験を、必須ではなく向いている人の条件として示しています。

技術面では、フロントエンドとバックエンドにまたがる本番品質のコードをPythonやJavaScriptなどで書き、レビューできることが条件です。LLMや生成モデルを使ったシステムを作るか導入した経験も、向いている人の条件に入っています。

入社後は課題の洗い出しから設計と開発、本番投入までを担当します。作ったものが本番で使われ、業務にどれだけ影響したかで評価されます。顧客先での評価をもとに、製品やモデルの開発計画も見直されます。

  • 勤務: 東京で週3日出社、出張は主に国内
  • 選考: レジュメは英語で提出し、面接は日本語と英語の両方

SB OAI Japan

採用企業はソフトバンク株式会社で、入社後にSB OAI Japan合同会社へ出向します。出向は原則、ソフトバンクに在籍したまま出向先の業務に就く形です。選考の途中で、SB OAI Japanでの直採用を会社側から相談されることもあります。

必須の応募資格は、次の7項目です。

  • 5年以上のソフトウェアエンジニアリングまたは技術導入の経験
  • 顧客折衝を含むプロジェクトを進めた経験
  • Python・JavaScript等を用いた本番品質コードの設計・実装の経験
  • クラウド環境でシステムを作った経験
  • LLM・生成AIを使ったアプリケーションを作るか導入した経験
  • 曖昧な環境下での意思決定力と、物事を前に進める力
  • 日本語ビジネスレベル以上

業務には、顧客の経営層や部門責任者への技術説明と、成功したやり方をテンプレートにして再利用できる形にすることが入っています。サンフランシスコのOpenAI本社へ出張する場合もあります。

  • 勤務: WeWork竹芝または都内事業所でリモートワーク可、出張は主に国内
  • 選考: 面接は原則対面。システムデザインやケーススタディの議論がある

LayerX

生成AIプラットフォームAi Workforceを大手企業に導入する仕事で、募集は2件あります。Senior Forward Deployed EngineerとForward Deployed Engineer (Associate)のうち、Seniorの顧客は金融や商社が中心です。

年数の条件はSeniorだけにあります。大規模なシステムや、高い信頼性・厳しい性能要求のあるシステムの設計・開発が2年以上、ビジネス課題に向き合い不確実な状況で意思決定した経験が1年以上です。Associateは年数の代わりに、LLMを使ったプロダクトを積極的に試す姿勢が必須で、PythonやTypeScriptの開発経験は必須ではなく、あれば望ましい条件です。

どちらの求人も、機械学習や生成AIをビジネス課題に当てはめる中で顧客とやり取りし、製品の導入につなげた経験を必須にしています。ただし、条件の冒頭には、要件のすべてを満たしていなくても問題ないという注記が両方の求人にあります。

顧客の業務に入り込むといっても、常駐はごく一部です。LayerXのFDE組織を振り返った公式ブログによると、FDE自身がAi Workforce本体の開発に入り、改善や新機能の実装をすることもあります。

  • 語学: 日本語はネイティブレベル相当
  • 勤務: 東京本社または各支社、もしくはリモートワークでコアタイムなしのフレックス
  • 選考: 書類選考、一次、二次(来社・対面)、最終の順。概ね2〜5週間で、リファレンスチェックは2名

マネーフォワード

AX推進本部のForward Deployed Engineer(Internal)は、顧客企業ではなく、人事・知財・コンプライアンス・法務など社内の各部門に入ります。ヒアリングから要件定義、技術選定、PoC開発までが仕事の範囲で、プロトタイプが完成すると本番化と運用保守は別チームが引き取り、FDEは次の案件に向かいます。複数の案件を並行することもあります。

期待する役割には、事業部の課題を技術的な解決策として言葉にする翻訳者が挙がっています。ほかの会社の求人にない条件として、PoCの評価設計の経験があります。評価データと合格基準を決めて、続けるかやめるかを数字で判断するところまでを指します。セキュリティ・ガバナンスの要件を関係部署と合意して進めた経験も条件です。

一方で、プロダクトAIソリューション部のForward Deployed Engineerは、プロダクトマネージャーや業務担当者にヒアリングして自社のサービスにAIを実装する求人です。担当する範囲は企画・設計から運用までです。この求人は、求人名をForward Deployed Engineerとし、本文ではAIソリューションエンジニアと呼んでいます。

  • 勤務(どちらの求人も): 東京で原則週2出社
  • 選考(どちらの求人も): 一次選考の前に技術課題がある場合あり。適性検査があり、リファレンスチェックをする場合もある

Palantir

Palantirの求人文は、案件の始まりの例に、なぜこれほど多くのフライトが遅れているのかという問いを挙げています。この職種は社内でDeltaと呼ばれ、答えの決まっていない問いを少人数のチームで最初から最後まで担当します。求人文は仕事の中身を、スタートアップのCTOに近いと説明しています。

同社の公式ブログは、週に数日を顧客先で過ごし、会議のほかに監視・デバッグ・導入・設定をする働き方を紹介しています。成果は、顧客の目標にどれだけ影響したかで測ります。

応募条件の年数は、大学卒業後の関連する実務経験1年以上です。セキュリティクリアランス(機密を扱うための身元審査)を持っているか、取得できることも条件です。エンジニアリングの素地も条件で、分野はコンピュータサイエンスや数学、ソフトウェアエンジニアリング、物理、データサイエンスなどが望ましいとされています。

  • 勤務: 東京のハイブリッド勤務で、出張は25〜75%

FDEの年収

給与欄に金額がある会社は、ソフトバンク、マネーフォワード、LayerXの3社です。OpenAIとPalantirの求人には給与の記載がありません。

会社・求人金額内訳
ソフトバンク(SB OAI Japanへ出向)
Forward Deployed Engineer
8,123,000円〜20,346,200円想定理論年収。月給+賞与+特別加算賞与で、時間外手当は40時間相当で計算
マネーフォワード
Forward Deployed Engineer(Internal)
7,908,000円〜15,000,000円給与例(年額)。時間外45時間分・深夜40時間分の固定手当を含む
マネーフォワード
Forward Deployed Engineer(プロダクトAIソリューション部)
6,504,000円〜11,004,000円給与例(年額)。時間外45時間分・深夜40時間分の固定手当を含む
LayerX
Senior Forward Deployed Engineer
12,000,000円〜想定年収(目安)。下限だけの表記
LayerX
Forward Deployed Engineer (Associate)
8,000,000円〜想定年収(目安)。下限だけの表記

金額の出し方は会社ごとに違います。ソフトバンクの額は、月給523,750円〜999,000円に賞与と特別加算賞与を足した理論年収で、賞与は会社業績と個人別評価で変わります。

ソフトバンクは、FDEを募集しているSB OAI事業本部で、FDEより年数の条件が短いSoftware Deployment Engineerを含む3職種も募集しています。いずれもSB OAI Japan合同会社への出向で、想定理論年収の上限は3職種ともFDEを下回ります。

求人想定理論年収
Technical Deployment Lead6,791,000円〜14,114,400円
Software Deployment Engineer7,124,000円〜14,114,400円
Software Engineer Lead7,739,750円〜19,926,200円

国税庁の令和6年分 民間給与実態統計調査では情報通信業の平均給与が659.5万円、厚生労働省のjob tagでは令和7年賃金構造基本統計調査にもとづくシステムエンジニア(Webサービス開発)の平均年収が578.5万円です。

FDEの5求人の下限は、どれもシステムエンジニアの平均年収を上回ります。情報通信業の平均と比べると、マネーフォワードのプロダクトAIソリューション部がほぼ同じ水準で、残る4求人は100万円以上高い額です。ただし、求人の金額は賞与や固定手当を含む額や目安の額で、統計の平均とは出し方が違います。

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今の職種別に足りない経験

エンジニアは顧客折衝と課題設定、ITコンサルは生成AIやLLMを使った実装、セールスエンジニアは設計・開発の実務が足りない

FDEの求人の多くは、生成AIやLLMを使った実装を含めてコードを書く経験と、顧客と向き合う経験の両方を必要としています。ソフトバンクの求人は、求める人物像にも、コードを書くことと顧客と議論することの両方を楽しめる方を示しています。片方しか積んでいない人は、出身の職種によって手元にない経験が違い、技術はあるがビジネス側に自信がない、コンサルの実績はあるがコードが書けない、という声もあります。

出身の職種と足りない経験根拠の求人
エンジニア
顧客折衝と課題設定
ソフトバンクのFDE求人(顧客折衝を含むプロジェクトを進めた経験が必須)、マネーフォワードのFDE(Internal)(課題発見から実装までを通して行った経験を求めている)
ITコンサル
生成AIやLLMを使った実装
マネーフォワードのFDE(Internal)(生成AIを使ったソリューション開発が条件)、ソフトバンクのTechnical Deployment Lead(LLMを使ったアプリケーションの実装経験が必須)
セールスエンジニア
設計・開発の実務
LayerXのSenior Forward Deployed Engineer(設計・開発の実務が必須)

エンジニア

LayerXのAI・LLM事業部では、プロダクトマネージャーやソフトウェアエンジニアも商談や顧客へのヒアリングに参加します。公式ブログによると、FDEは顧客との接点の量も深さも、その2職種を上回ります。

LLMを使う製品に必要な精度は業務ごとに違うので、顧客と深く話す必要があります。たとえば、ある業務では90%の精度でも不十分で、別の業務では60%でも効率が上がります。FDEは業務を知ったうえで、解くべき課題を見極めます。

ITコンサル

ITコンサル出身でも入社している例が、LayerXのAI・LLM事業部にあります。大手SIerやITコンサル出身のメンバーが多く、ビジネス側のメンバーが設計や実装まで関わる案件も増えています。マネーフォワードのFDE(Internal)では、業務改善やシステム導入のプロジェクト経験が望ましい条件です。

PalantirのDeltaは、同社の説明ではコンサルタントとは別の仕事です。コンサルタントは一度きりの分析と提言で終わりますが、Deltaは既存のソフトウェア製品を導入し、顧客と長く使える解決策を作っていきます。実装まで自分で書くので、事業の課題をコードで書ける大きさまで分けて設計する力が要ります。

セールスエンジニア

LayerXのSenior Forward Deployed Engineerの求人は、顧客先に常駐した経験や営業同行の経験を、応募前に持っていると望ましいとしています。

同求人の業務では、顧客ヒアリングや業務理解をする本人が、LLMのアルゴリズムのチューニングや精度評価、顧客の環境での導入の支援まで担当します。必須の条件には、大規模なシステムの設計・開発の実務が残ります。

足りない経験はどこで積むか

足りない経験を積む場所は、今の職場と、FDEより条件の軽い求人

積む場所は2つで、今の職場と、FDEより条件の軽い求人です。今の職場では、生成AIを使ったPoCを社内で作ります。

マネーフォワードのFDE(Internal)の求人は、業務にチャットボットやAIエージェント、RAGなどのPoCの設計・開発が含まれます。社内DX・新規事業などでのPoC開発経験は望ましい条件で、求める経験は生成AIやLLMを使ったソリューション開発です。同社のプロダクトAIソリューション部の求人は、PoCを含む生成AIまたは機械学習のアプリケーション開発が条件です。

もう1つの場所は、FDEより必須条件の少ない求人です。ソフトバンクのFDE求人では顧客折衝が必須です。同じSB OAI事業本部のSoftware Deployment Engineerは、必須のソフトウェアエンジニアリング経験が3年以上でFDE求人より年数の条件が短く、顧客折衝は歓迎の条件です。求人文は、将来はFDEの役割へ広げていく方針も示しています。

LayerXのAssociateは年数の条件がなく、育成を担当する社員がいて、入社した人は上の等級のメンバーと一緒に導入にあたります。

大手企業のFDE組織

アクセンチュア、富士通、日立製作所が発表しているFDE組織の動き

アクセンチュア、富士通、日立製作所は、FDE組織の設立やパートナー契約、提携の拡大を発表しています。確認した範囲では、3社のFDEの中途採用の応募条件は見つかりませんでした。

アクセンチュア

アクセンチュアは、マイクロソフトと組んで、フォワード・デプロイド・エンジニアリングの専門組織を設立しました。AIスキルを持つエンジニアを数千人規模で集めます。

富士通

PalantirのGlobal FDE Partnerとして体制を強めると、富士通は発表しています。クロスインダストリーソリューション事業本部にはFDE事業部があり、エンジニアリンググループが新卒インターンシップを募集中です。募集ページの必須スキルはプログラミング経験です。

日立製作所

日立は、Google Cloudとの提携を広げ、FDEによるフィジカルAIの導入を進めると発表しました。FDEにあたる人材は、日立のコンサルタントやAIトランスフォーメーションのエキスパートと、米国子会社GlobalLogicのエンジニアです。

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よくある質問

FDEになるには資格は必要ですか?

確認した求人では、資格は条件に入っていません。クラウドに関しては、ソフトバンクがクラウド環境でシステムを作った経験を、マネーフォワードのFDE(Internal)がクラウドを利用した経験を条件にしています。

Palantirの求人は、セキュリティクリアランスという身元審査を通っているか、通れることを条件に入れています。これは検定や認定の名前ではなく、求人が個別に置いている条件です。

未経験からFDEになれますか?

開発やAI導入の実務がまったくない状態で応募できるFDEの求人は、確認した範囲にありません。年数の条件が最も短いPalantirも、実務1年以上とエンジニアリングの素地を条件にしています。

LayerXのAssociateは開発経験を必須にしていませんが、機械学習や生成AIを顧客への導入につなげた経験は必須です。

まとめ

FDEに応募する前に、開発の実務、顧客や事業部と課題を解決した経験、LLMや生成AIを使った開発や導入のうち、経歴にないものを洗い出します。

積む方法は2つあります。今の会社で生成AIのPoCを作る方法と、FDEを募集している会社が出している、必須の年数がFDEより短い職種に応募する方法です。顧客折衝が足りない場合は、顧客折衝を歓迎の条件にとどめている職種があります。

SaaS業界の職種ごとの仕事内容は、職種の一覧に載っています。

▶ SaaS業界の職種一覧!仕事内容と今の経験で応募できる職種を解説

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