SaaS営業はきつい?インサイドセールスなど職種別のきつさと会社の選び方を解説

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他業界の法人営業からSaaS企業への転職を考えると、分業で仕事が楽になるのか、それともSaaS営業はきついのかが引っかかります。SmartHRのインサイドセールス求人の1日の例では、架電の時間が合計5時間15分あります。

分業しても楽になるとは限らず、きつさの中心は職種ごとに違います。求人の例では、インサイドセールスは架電の数字、フィールドセールスは受け取った商談の受注、カスタマーサクセスは解約防止と契約の拡大が重くなりやすい仕事です。

一方で、製品の強さや評価の仕組みのように、会社選びで減らせるきつさもあります。自分に合わない職種はどれか、入社前に何を確かめればよいかを、順に整理します。

SaaS営業はきつい?分業でも楽とは限らない

SaaS企業には、営業の工程をインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの3つに分ける会社があります。分業の形をとる会社でも、求人の給与は残業がない前提では組まれていません。

SmartHRやマネーフォワードの営業職の求人は月給に月45時間分のみなし残業手当を含み、ほかのSaaS企業には月40時間分の求人もあります。どちらも、超えた分は別に支給されます。毎月その時間だけ残業するという意味ではなく、残業が出ることを織り込んだ給与です。

厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、2024年の離職率は情報通信業全体で10.2%と、全産業計の14.2%より低い値です。SaaS営業に限った値ではありませんが、業界全体で辞める人が特に多いわけではなく、きつさの差は、職種と会社の側に出ます。

職種で違うSaaS営業のきつさ

マーケティングからインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスへ顧客が渡る流れと、職種ごとに重くなるもの
SmartHR・カオナビ等の公式求人をもとに作成

1社の営業組織の中で、顧客はマーケティングからインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスへと渡っていきます。流れのどこに立つかで、毎日追う目標と向き合う相手が変わります。

インサイドセールス

インサイドセールスの働き方の違い(架電が中心の担当と大手企業の担当)
株式会社SmartHR・株式会社CLUE・株式会社アンドパッドの公式求人をもとに作成

インサイドセールスのきつさは、1日の大半が架電で埋まり、成果が日ごとの数字になることです。SmartHRのインサイドセールス求人(従業員51〜500名の企業担当)には、架電の枠が並ぶ1日の例が載っています。

時間帯内容
9:15〜11:30架電
13:00〜13:30プランニング1on1
13:30〜15:00架電
15:00〜15:30フィールドセールスとの連携MTG
15:30〜17:00架電
17:00〜17:30定性MTG
17:30〜18:00所属チームの定例MTG
18:00〜18:30翌日の準備やインプット

架電が中心の働き方は、CLUEの求人にも見られます。仕事は、過去に接点のあった顧客の掘り起こしと、アウトバウンドの架電です。取ったアポはフィールドセールスに渡し、日々積み上がる商談数が、そのまま短期の成果になります。

ただし、大量の架電をしない働き方を書いた求人もあります。ANDPADのエンタープライズ担当インサイドセールスの求人は、無数のリストに次々とかけてアポを取る形ではなく、狙う企業のキーマンを探して、電話以外も含めた近づき方を考える仕事です。

フィールドセールス

フィールドセールスの引き継ぎ型と新規開拓型の違い
株式会社SmartHR・株式会社マネーフォワードの公式求人をもとに作成

SmartHRのフィールドセールスは、主にインサイドセールスが取ってきた初回商談から導入までのクロージングを受け持ちます。自分で選んでいない商談でも、受け取った以上は受注まで持っていく責任を負い、抱える件数と目標がそのままプレッシャーになります。

導入の決裁や上申の進め方を知らない顧客が多く、営業の側が先に立って案件を進める必要もあります。

引き継ぎ型ではないフィールドセールスの募集も出ています。マネーフォワードは新規開拓から提案、クロージングまでを受け持つ形です。見込み客を探して商談を作る段階から目標を負うので、きつさの種類が変わります。応募先を選ぶときは、募集がどちらの型かを仕事内容の欄で見分けます。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスが負う、解約を防ぐ守りとアップセルの攻め
株式会社カオナビ・株式会社SmartHRの公式求人をもとに作成

求人の例では、解約を防ぐ守りと既存顧客との契約を広げる攻めを、カスタマーサクセスの同じ担当者が負います。受注のノルマがなくても、楽になる職種ではありません。

カオナビの求人(従業員500名以下の企業担当)では、オンボーディングチームから顧客を引き継いだあとが、カスタマーサクセスの担当です。SmartHRの求人には、利用率が低い既存の契約企業への利用促進と、オプション機能の提案や営業と組んだアップセルが並びます。同じ求人は、より多くの顧客に効率良く対応することを求めています。

受注を取ったら次の顧客へ進む働き方を望むなら、契約が続くかぎり同じ相手と向き合うこの仕事は重荷です。

体制が整っていない会社では、進め方が粗かった受注の後始末がカスタマーサクセスに回ってくることもあります。

前職の営業経験はSaaS営業で通じる?

SaaS営業の応募の入口と、入社後に成果が出るまでの対比
株式会社SmartHR・株式会社マネーフォワードの公式求人をもとに作成

応募の入口では通じますが、扱う商材の知識は入社後に身につける前提です。SmartHRとマネーフォワードの公式求人4件で見るかぎり、前職の業界を指定した求人はありません。法人営業を3年以上続けてきた人なら、扱った商材が形のあるものでも応募できる求人があります。

求人必須の経験(いずれか)そのほかの条件
SmartHR インサイドセールス無形商材の法人向け新規営業3年以上/インサイドセールス1年以上/営業組織でのマネジメント1年以上なし
SmartHR フィールドセールス無形商材の法人向け新規営業3年以上なし
マネーフォワード インサイドセールス無形の法人営業2年以上/インサイドセールスの実務経験なし
マネーフォワード フィールドセールス法人営業3年以上(業界不問)提案型の営業と目標達成の実績

形のある商材を法人に売ってきた人が、インサイドセールスの経験もマネジメント経験もなければ、応募先はマネーフォワードのフィールドセールスに絞られます。業界も商材も指定していない代わりに、提案型の進め方と目標達成の実績まで求めている求人です。

営業組織でのマネジメント経験が1年以上あれば、個人向けの経験が中心だった人でも、SmartHRのインサイドセールスに応募できます。

▶ SmartHRの転職難易度は高い?職種別の応募条件と面接で落ちやすい答え方を解説

入社後の研修の流れも求人に載っています。SmartHRとマネーフォワードのインサイドセールス求人には、入社後のプロダクトのインプットとロープレが書かれており、マネーフォワードはロープレに合格してから実務に入る流れです。

前職で目標を達成していた法人営業でも、研修を経てから商談に入る会社があります。求人に載っているのは研修の中身までで、どれくらいの期間で実務に入り、成果を求められるのかは載っていません。インプットとロープレの期間や入社直後の目標の置き方は、面接で聞いて確かめます。

▶ SaaS業界の職種一覧!仕事内容と今の経験で応募できる職種を解説

会社選びで減らせるきつさ

SaaS企業への入社前に確かめること(製品・解約と継続利用・競合に負けた理由・評価に入る数字)

職種の中身から来るきつさは会社を変えても残りやすいのに対し、製品の強さと評価の仕組みは会社ごとに違うので、応募先の選び方で減らせます。製品は触って確かめ、評価の仕組みは面接で聞きます。

製品の強さ

応募先の製品が競合に勝てているかは、入る前でも、製品を触ることと面接で聞くことで見当がつきます。

広報や集客が上手で事業が伸びて見えても、市場に合わず解約が多い会社もあります。製品が弱いと、営業は工夫を重ねてもきつくなりやすいです。

無料プランやデモからは、製品の使い勝手が分かります。競合に勝てているかを知るには、解約や継続利用の状況、競合に負けた商談の理由、利用率の低い顧客への対応を聞きます。

面接の答えは会社側の説明なので、それだけで顧客の定着までは分かりません。解約の状況を件数や理由を挙げて答える会社なら定着を見積もる材料が増え、はっきり答えない会社からはその材料が得られません。

評価されるKPI

分業の営業では、前の工程から渡される商談や顧客の質で、自分の数字が上下します。そのきつさを誰が抱えるかは、渡した側の評価に受注や継続の結果が入るかで変わります。

評価が件数だけの会社では、渡した商談が受注に至らなかった結果が、渡した側の評価に反映されにくいことがあります。その分は受け取った側の成績に残ります。

マネーフォワードのインサイドセールス求人は、アポの数に加えて、フィールドセールスへの引き継ぎの質や有効な商談の数にもこだわっていると書いています。フィールドセールスなどからフィードバックを受ける体制もあるとしています。ただ、それが評価にどこまで入るかは、求人からは分かりません。

面接では、評価に入る項目が件数だけか、引き継ぎの質や受注、継続への貢献まで入るかを聞きます。前後の工程と共有している数字があるか、渡した商談が実らなかったときに理由が返ってくるかも確かめます。

SaaS営業に関するよくある質問

営業未経験でもSaaS営業になれますか?

営業経験がまったくない状態からだと、インサイドセールスとフィールドセールスの中途求人は、確認したSmartHRとマネーフォワードの範囲では必須の経験年数を満たせず、応募できません。

カスタマーサクセスの求人は条件が異なります。SmartHRの求人は、必須条件を満たす経験として、カスタマーサクセスやIT・SaaS業界の営業のほか、SEとしてのシステム導入や顧客折衝を2年以上挙げています。

入社後に別の職種へ移れますか?

求人には異動の可否が書かれていません。SmartHRのインサイドセールス求人にあるのも、枠を超えたプロジェクトへの参画を推奨する記載までです。

制度の有無と、実際に別の職種へ移った例があるかは、面接で聞いて確かめます。

SaaS営業の年収はきつさに見合いますか?

SmartHRの求人では、成果給を除いた年収例がインサイドセールスで400万8,000円〜600万円、フィールドセールスで504万円〜900万円、カスタマーサクセスで402万円〜900万円です。

月給にはみなし残業と深夜の手当が含まれます。インサイドセールスの月給33万4,000円のうち基本給は24万4,800円で、残りがその手当です。他社と並べるときは、みなし残業の時間数と基本給をそろえて比べます。

年収の上限は、インサイドセールスよりフィールドセールスとカスタマーサクセスの方が高く、受注や解約防止の責任を負えるかで、きつさに見合うかの答えが分かれます。

まとめ

分業しても、きつさはなくなりません。どの職種のきつさなら引き受けられるかを決め、その型に合わない募集は応募の段階で外します。

希望する職種の求人に載っている1日の流れが、その手がかりになります。そのうえで、応募先の製品を触り、面接で評価に入る数字を聞いて、会社ごとに違うきつさを入社前に確かめてください。

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